8/9/16

Contrast in the Downton



今日は
ドラマの話 かと思いきや
陰陽の話。

シリーズは終了してしまいましたが
 私は『Downton Abbey(ダウントン・アビー)』が好きです。



限嗣相続制時代のイギリスの話は
ジェーン・オースティンの『高慢と偏見 (BBS)』を観て以来大好きで
『ダウントン・アビー』が始まってからも嬉々として観ていました。

煌びやかな衣装やマナーハウス(領主の館)での貴族の暮らしや
素朴で可愛らしい村の暮らしの描写もさることながら

画がいちいち美しいのも魅力で、
どのショットも絵画のように構図が考えられ
観る度にため息が出ます。



でもこのドラマの最大の魅力は
限嗣相続制時代ならではの人間模様。


まず、限嗣相続制について


【限嗣(げんし)相続制】
相続方法を限定する制度。
親族内で相続の順位を定め、不動産などの財産が売却や贈与で分割されることを防ぐ。
多くの場合、長男を先頭に男系の親族をたどって、たった1人の男性の相続人がすべてを継ぐよう決められ、女性は相続できない。


爵位を持った貴族が
爵位、領地、屋敷、財産を遺すために奮闘するのですが

要は

「子供が全部女だから娘と結婚して全てを嗣いでくれる家柄の良い男子募集中!」

って感じでしょうか。


その為、女性が非常に弱い立場だった時代なんですね。

ことさら「女兄弟だけの貴族の令嬢」達は、いわゆる「崖っぷち」です。
相続内容に依りますが、父親が死んだ瞬間に没落が決まります。




また、『ダウントン・アビー』では召使い達の世界も同時に進行していて
階級や身分についてもハッキリと差別が描かれています。

これだけ、選択の自由の無い、限られた世界がゆえに
非常に人間らしい生き様が描かれています。

ジェーン・オースティンがよく評されるのが
「人間の人間らしい側面の見事な描写」

とにかく全ての登場人物が個性的。
だけどわざとらしい個性を持った人が一人もいないんですね。
みんな「ああ、いるいるこういう人」といった感じ。
とにかく卓越した観察眼による人間描写が素晴らしいです。

これは『ダウントン・アビー』も同じで

人間の素晴らしい部分と

生き延びるために罪を犯したり
自分の心を守るために人を傷つけたり
愛するものを守りたいが為に視野が狭くなったり

そんな、所謂「人間のブラックな部分」が
とてもしっかり描かれています。
観ていてやきもきはしますが(笑)

どんなイヤな奴にも、必ず人間らしさとの葛藤が潜んでいて
どんなに素晴らしい人にも、弱さや愚かさがあって

強く厳しい人も、処理しきれない哀しみや苦しみがあって
愚かに見える人が、実はひっそりと美徳を抱えていて

その、光と影のマーブル模様が
眩しいくらいに美しくて、毎回胸を打ちます。


ついでに言うと
イギリスの演劇界ってすごく面白くて
上下が無いんですよね。


オーディションの時に
無名、有名限らず、審査される側の役者達が
審査する側の演出家やプロデューサーに対して
対等な立場(日本で言うと「生意気」)で意見を言うのは普通だと言うし
(「この役の解釈は自分の方が正しい」とか)

映画を撮っていても
役者達が監督にアドバイスをしたり
意見をガンガンに言うことも当たり前で
(これに慣れていない米国の監督は怒ってしまうそう)

更に最後のエンドロールは大抵アルファベット順。
(超端役が一番上に来ることもよくある)


と、目線が非常にフラットだな、と感じます。


最近のイギリス映画やドラマは極端で好きではないですが
さすがブラックジョーク大国。

人間の闇の部分も、光の部分も
全部同じところにあるんですよね。

まだまだ貴族社会の身分差は名残があるようですが
それとは別次元で、人間を見る眼差しのようなものが
ちょっと他の国とは違うなあ、と思います。

光と影がハッキリと分かれていて
それを全部、目を逸らさず見つめてきた人々の
ゆるぎない強さなのかな、と思います。


そういえば、『ハリー・ポッター』も設定がそうですね。
光と闇が同じ存在、という観点が基にあって、
ハリーとヴォルデモートは対の存在。
学校でもちゃんと闇の魔術を教わる時間があります。

『天空の城ラピュタ』で言うところの

「いいまじないに力を与えるには、
 悪い言葉も知らなければいけないって。」

と同じ感じ。

光を体験したかったら、闇をちゃんと見つめる。
闇が無ければ光も存在できません。

ブラックを沢山認め始めたら
私も面白いぐらいに世界が変わりました。

まずは「ブラック認めマスター」を目指すのが
変化への一番の近道だったかも。

自分を愛するのに、
絶対必要不可欠なことです♫


それでは
今日も読んで下さってありがとう❤❤❤

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