5/14/16

Sensivility




今、毎朝自然と目覚める時間に起きている。
最近は、5月らしい陽射しと、
ちょっと薄暗い日が時々あって
両方とも好きな私はとてもしあわせ。
雨が降る前の、静かに張りつめた空も大好き。

お布団を干せるか干せないか
空を見て確認する作業がすごくすき。

サバの詩に

“朝、起きたときの天気は、
 その日いちばんの出来事”

っていうのがあって
それを思い出す。

『詩人』という詩なんだけど
感受性が豊かに、
外側の世界に向かって大きく揺さぶられるさまを
みごとに描いている。



この間、友人に勧められて
『イミテーションゲーム』という映画を観た。
感受性は諸刃の剣で、強すぎると
世界の遠心力が大きくなり過ぎて
ときどき心がもぎとられるような気持になる。
そんな主人公の孤独を
なんだか知っているような心地になって
ものすごく苦しくなった。

今までは、自分が持っている感受性を
ギフトとも思い、同時に
厄介なお荷物のようにも感じていた。
自分は頭がおかしいのじゃないかと
脅えていた時期もあった。


だけどここのところ
心がとても静か。

好きな人としか関わっていないし
大抵一人で作業する仕事なので、
そのせいもあるかもしれないけど
何だか本当に、
全てが宇宙の采配なのだと心から感じるようになって
恐いものがどんどんなくなってきたのかもしれない。


すべて、だいじょうぶ。
そう感じることで、心は強くなっていくのかも。


大好きなサバの詩の
紙の上にぽつぽつと並んだ文字から
感受性と共に生きる喜びが伝わってくる。

私の心はもう、だいじょうぶ。
ようやっとすこし、使い方がわかってきたみたい。



詩人

 詩人は、限りある日々を
 生きている。
 すべての人間とおなじように。だが、
 なんと多様な、日々だ!

 一日のさまざまな時間、四つの季節、
 太陽が翳ったり、風がつのったりは、
 いつも違った、気晴らし、みちづれ。
 変わることのない彼の情熱にとっては。
 朝、起きたときの天気は、
 その日いちばんの出来事、
 目覚めのよろこび。
 なによりものなぐさめは、荒れ模様の
 ひかり。たえずざわついている、
 よい天気の日々。
 群衆のながい行列みたいに、
 青空も、あらしも、長くは続かず、
 不幸の天使と、勝利の
 天使が、かわるがわるに降りてくる。
 夕焼けが赤いと、彼はまた愉しくなり、
 雲が出ると、彼の幸福の
 色も変わる。
 心も変わるときがある。

 詩人は限りある日々を
 生きている。
 すべての人間とおなじように。だが、なんと、
 なんと、すばらしい日々だ!


作:ウンベルト・サバ
訳:須賀敦子

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